解体工事の流れと依頼する際のチェックポイントも併せて解説
その他 2019年03月19日
「解体工事を依頼しなければならない」「将来的に解体工事が必要になる」といった人は、どうやって依頼するのか、どんな届け出が必要なのか、どれくらいの期間を見ておけば良いのか、業者を選ぶ際にどんなことに気をつければ良いのかなど、さまざまな疑問を抱えているのではないでしょうか?
この記事では、解体工事が初めてという人に向けて、解体工事の流れや注意すべきポイントなどを分かりやすくまとめています。
今後m必要と思われる解体のためにも、是非ともご活用ください。
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解体工事を依頼する流れ
まずは解体工事がどういった流れで行われるのか、知っておくことが大切です。
そうすれば逆算して「今何をすべきか」「次はどんな準備をしておけば良いか」が分かってくるからです。「解体工事が全くの初めて」という人でも分かるように、解体工事を依頼する前の段階からの基本的な流れと、各段階で注意したいポイントをまとめています。
解体業者への問い合わせ
解体業者へ「解体工事をお願いしたい」旨を問い合わせます(解体業者の探し方などは後述します)。
問い合わせの前に控えておきたいのは次のような点です。
- 氏名と住所、連絡手段
- 建物の種類(戸建や集合住宅など)と形状、構造
- 建物の大きさ
- いつ頃から開始予定か(またはいつ頃までに終わらせたいか)
解体業者にいろいろと聞かれても、この辺りはスムーズに答えられるようにしておきましょう。
現地調査で詳細な打合せ
建物は一つひとつ条件が異なります。
電話である程度の見積もりを教えてもらったとしても、立地条件や建物の構造、周辺環境、そのほかに付帯工事があるかどうかといったさまざまな条件によって解体工事の内容や金額などは大きく変わってきます。
そのため「依頼主が立ち会い」のもと、現地調査を行います。
ここでのポイントは
- 解体する部分(残す部分があればそこも)の確認(a)
- 解体する建物の大きさや構造、形状などのチェック(b)
- 付帯工事(浄化槽の撤去やカーポートの解体など)の有無の確認(c)
- 周辺環境の確認(目の前の道路の幅、重機は使えるか、隣接する建物との距離等)(d)
などです。原則として依頼主が立ち会いのもとで行われますが、どうしても立ち会えない場合もあるかもしれません。そうしたケースでは、上記(特にaとc)をあらかじめ解体業者に伝えておき、勝手に敷地や建物内に入ることも許可しておいてあげましょう。
見積書の確認と業者の選定
現地調査が済んだら、それをもとに具体的な見積もりを出してもらいます。
ここでのポイントは
- 工事費用の総額は予算内か
- 問い合わせや現地調査の際に伝えた工事が全て含まれているか
- 産業廃棄物の処分費用についても記載されているか
- そのほか、不明な項目や金額はないか
といった点です。
見積書を確認した時点で納得できない部分や、曖昧な部分があった場合、そのままにしておくとトラブルのもとになりかねません。
解体工事が初めてという人は特に、見積書の内容や金額を見ても分かりにくいかもしれませんが、疑問点や不明点は必ず確認しておきましょう。
解体工事契約を交わす
見積書の疑問点や不明点が明確になり、費用も含めて内容に納得できたら、担当者と具体的な打ち合わせを重ねていよいよ解体工事の契約を行います。
契約を交わす前の段階で担当者とも十分打ち合わせをしていると思いますが、契約直前の段階で改めて確認しておきたいところは
- 解体工事の内容に問題はないか
- 費用は見積書の通りか
- トラブルがあった際の対応はどうなっているか
- 損害保険には加入しているか
- 追加費用が発生する可能性については明確か
などです。
後からトラブルになるのを防ぐためにも「見積書〜打ち合わせ〜契約」この流れの中で担当者とよく話をし、不明点を解決したり信頼関係を築いたりすることが大切になってきます。
解体工事前に必要な事
契約を取り交わしたら、解体工事着工前までに必要な届け出をしておきましょう。
依頼主に届け出の義務があるのは「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(通称:建設リサイクル法)」に基づく「解体工事届出書」の提出です。
この法律では
- 床面積の合計が80㎡以上の建物
- 特定の建設資材が使われている建物
- 工事費用の総額が500万円を超える工事
などの場合、解体工事着工日の7日前までに各都道府県知事(政令指定都市であれば市長)に申請することが義務付けられています。
一般的な家屋であれば80㎡以上に該当するケースがほとんどですので、依頼主に申請の義務があることを覚えておきましょう。
とはいえ、多くの場合、解体業者が届け出を代行してくれます。打ち合わせの時点で確認しておくと良いでしょう。
なお、代行してもらう場合は委任状が必要になるので、あらかじめ用意しておくとスムーズです。
そのほか、依頼主がやっておくべき届け出といえば電気、ガス、電話、インターネットなどの停止(解約)の手続きです。
それぞれ、契約している会社に「○日から解体工事が始まる」ことを伝え、それまでに停止してもらうようにしましょう。
ただし、水道に関しては解体業者が現場の清掃や粉塵の飛散防止といった理由で散水することがあります。
水道を停止するかどうかは、事前に解体業者に確認しておくと安心です。
併せて、電気も停止してしまって良いか聞いておいても良いでしょう(稀なケースですが夜間工事をする際に電気が必要といった可能性もあるため)。
そのほか、解体業者が行う届け出としては道路使用許可(管轄の警察署)などがあります。
事前準備
解体工事前にしておくことがあります。
近隣住民への挨拶です。
- どれくらいの期間か
- どのような工事なのか
- 騒音、振動、粉塵などは出るのか
- 何かあったときの連絡先は
- トラブルがあった場合の対応は
などを、解体業者の担当者が一軒ずつ回って説明していきます。
ただし、挨拶は「必須」でも「義務」でもありません。
依頼主や解体業者を含めて周りの人たちも納得のいく解体工事にするため、また万が一トラブルがあった際に双方の損害を最小限に抑えるために行うものです。
人によっては、諸事情で「挨拶は必要ない」というケースもあると思います。
その場合は解体業者の担当者にその旨を伝えておきましょう。
解体工事の開始
近所への挨拶が完了したら、いよいよ解体工事着工の準備です。
先に撤去できるもの(電気、ガス、電話、インターネット、水道など)を撤去し、必要に応じて足場や敷き鉄板、養生といった仮設工事を行います。
仮設工事は作業員が安全に作業するためだけでなく、敷地をできるだけ汚さない、近隣住民に迷惑をかけないといった目的もあります。
仮設工事が済んだら、建物の解体が始まります。
まずは内壁、天井、外壁、建具といった「手作業」で解体できる部分を取り壊していき、重機などを使って建物全体を解体していきます。
建物がなくなったところで土間コンクリート、基礎といった部分を解体します。
最初から重機で一気に壊してしまう「ミンチ解体」は、現在は禁止されています。
解体工事で発生した廃棄物は、リサイクルできるものとそうでないものなどをきちんと分別しなければならないと、法律で定められているからです。
そのため、手作業による解体と重機による解体を分けて行うのが一般的になっています。
基礎などの解体も全て終われば、地面を整地・清掃して解体工事が完了します。
解体工事完了
解体工事が完了したら、必ず依頼主立ち会いのもとで最終チェックを行います。注文通りになっているかを確認し、了承すれば晴れて解体工事が終了です。
解体工事の担当者が近隣住民に「工事が完了した」旨の挨拶と協力してもらったお礼を伝えに行くこともあります。
なお依頼主は、解体工事完了後1カ月以内に法務局にて「建物滅失登記」をしなければなりません。
難しい手続きではありませんが、うっかり忘れると10万円以下の過料が科せられますので覚えておきましょう。
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解体工事に必要な届け出一覧
解体工事において、依頼主が関わってくる届け出一覧です。
これ以外の届け出は基本的に解体業者が行うため、下記の届け出があることを覚えておけば問題ありませんが、もし不安な場合は自治体の窓口や解体業者の担当者などに確認しておくと安心です。
- 何の届け出? どこ宛てに? いつまでに?
- 解体工事届出書 都道府県知事
(政令指定都市は市長) 依頼主が解体工事着工7日前までに(多くは解体業者が代行、その場合委任状が必要)
- ライフライン 各契約会社 依頼主が解体工事着工前までに(水道は解体業者に事前に確認)
- 建物滅失登記 管轄している法務局 依頼主が解体工事完了後1カ月以内に法務局にて手続き
解体工事の手順とは?
解体工事の手順は、建物の種類や構造などによって変わってきます。
ここでは、一般的な木造家屋の解体工事の手順について、1章で解説した内容をより詳しく説明していきます。
足場と養生
安全に作業できる空間を確保するため、障害物や撤去できるものは撤去しておきます。
その後、足場を組んで防音・防塵シートなど養生を設置します。
作業員の転落などを防ぐ目的以外に、工具の落下を防いだり、騒音や粉塵を抑えたりするためにも、こうした仮設工事は非常に重要になってきます。
ただし、隣家と距離が離れている場合や、平屋など高さがない建物の場合、足場を組んだり養生を設置したりしないこともあります。
残留物の撤去と内装の解体
家具、家電などの家財道具、そのほか生活で使用していた品々を撤去していきます。
もちろん、事前に処分できるものは自分で処分しておいた方がスムーズになりますし、場合によってはコストカットにもつながります。
現地調査や打ち合わせの際に確認しておくと良いでしょう。
残留物を撤去したあとは、手作業で内装を解体していきます。
壁や天井のほか電気器具、調理器具、浴槽なども丁寧に撤去していきます。
タイルなどの壁がある場合は“はつり機”を用いて解体していくこともあります。
また、粉塵が飛散するのを防ぐ目的で、散水しながら作業することもありますので覚えておきましょう。
重機による解体
手作業による解体が済んだら、次は建物全体を、重機を使って解体していきます。
庭木の撤去なども重機を使うことがあります。
周りに細心の注意を払いながら、慎重かつ効率的に行われます。
必要に応じて監視員や誘導員といった人員を配置することもあります。
なお、重機が使えるスペースがない場合や、隣家との距離が非常に近く重機を使うリスクが大きいといった場合などは重機を使わずに全て“手壊し”になることもあります。
その分、工事期間が長くなり、費用も高くなることが多いです。
もちろん、その場合でも現地調査や打ち合わせ、見積書などで事前に確認できますが、いざ解体工事を始めてみたら近隣からの苦情でどうしても重機が使えなくなってしまった、というケースも可能性としてはゼロではありません。
特殊なケースではありますが、担当者との密な話し合いや、信頼関係も大切になってきます。
産業廃棄物の搬出
解体工事で発生した廃棄物は「産業廃棄物」として扱われます。
分別を済ませたあと、トラックなどに積み込んで搬出し、適切な方法で処理されていきます。
産業廃棄物の扱いについて、依頼主がぜひ知っておきたいポイントがあります。
産業廃棄物にまつわる許可
産業廃棄物を収集したり運搬したりするには「産業廃棄物収集運搬業許可」が必要です。
また、処理するには「産業廃棄物処理業許可」が必要です。
これらを取得していない業者は、取得している別の業者に委託することになります。
マニフェストの発行
産業廃棄物の収集・運搬・処理を別の業者に委託した場合、どんな業者に委託したのか、適正に処理されているのかといった部分が不透明になりがちです。
そこで、産業廃棄物排出業者(つまりこの場合は解体業者)が「マニフェスト」と呼ばれる産業廃棄物管理票を発行することになっています。
これには、どの業者が収集運搬して、どの業者が処分したのかといった産業廃棄物の流れが詳しく書かれています。
5年間保管することになっているため、後から何かしらのトラブルが発生したときに重要な証拠にもなります。
依頼主はマニフェストを発行してもらえるか、写しをもらえるかといったことも確認しておきましょう。
自社で処理まで済ませられる業者もいる
解体業者の中には「産業廃棄物収集運搬業許可」「産業廃棄物処理業許可」を取得しており、かつ処理するためのプラントも自社で保有しているところもあります。
外部に委託する必要がないため、産業廃棄物の流れに透明性があり、かつ費用も抑えられるメリットがあります。
産業廃棄物の不法投棄といった不適正処理が問題になっていますが、不法投棄はそれを行った業者はもちろん、場合によっては依頼主も罰則の対象になるケースがあります。
「解体工事などでなければ、なかなか産業廃棄物に関わることなどない」という人も多いと思いますが、産業廃棄物の重要性については知っておいて損はないでしょう。
清掃・整地
建物の解体、産業廃棄物の撤去などが終わったら、細かいゴミなどを撤去してキレイに清掃します。
最後に、地面を均(なら)す“整地”をします。
丁寧に整地してくれる解体業者も多いですが、中にはゴミを拾ってホウキで均しただけ、という業者もいるようです。
見た目がボコボコでは印象も良くありませんので、整地についてもどの程度までやってくれるのか確認しておきましょう。
また、解体後すぐに活用する予定がない場合、雑草が伸びてきてしまうなど管理が大変になることがあります。
コンクリートやアスファルトを細かく砕いた再生砕石を敷いてくれる業者もいますので、併せて確認しておくと良いでしょう。
解体工事の手順はケースバイケースですが、一般的にはこのような流れになります。
もちろん、解体業者に「一任」して良い訳ですが、トラブルを防ぐためにも、またスムーズで双方が納得のいく解体工事にするためにも、依頼主としてある程度の流れを知っておくことは大切です。
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解体工事に必要な期間は?
解体工事自体は、特別なことがなければ7〜10日程度、長くても2週間程度あれば十分、工事が完了するでしょう。
ただし、豪雨・豪雪・台風、あるいは雨が続いて地盤が緩んでいる、クレームが入った、事故が発生したなどの理由によって工期が延びてしまうことも考えられます。工期には余裕を持っておくことが大切です。
また、それ以前の段階(業者選び、現地調査、打ち合わせ、見積もり確認など)で1カ月など、じっくり時間をかけることがより大切になってきます。
「解体工事を依頼しよう」と思い立ってから「解体工事が完了」するまでの期間としては2カ月程度を目安にすると良いでしょう。
もちろん、それよりも早く動き出すことができれば、情報収集したり、相見積もりを依頼したりといったことも可能になります。
解体工事を行うことが決まった時点で、できるだけ早く動き出すようにしましょう。
依頼時にここは気をつけたい!トラブル事例を交えて解説
最後に、依頼主として解体工事を依頼する際、押さえておきたいポイントをトラブル事例も交えて解説します。
追加費用を請求された!
「解体工事中に依頼主でも気づかなかった地中埋設物が見つかったが、許可なく勝手に撤去されて高額な追加費用を請求された」「見積もり金額がいちばん安かった業者にしたら、次々に追加費用を請求され、最終的にいちばん高くなってしまった」など追加費用を請求されるケースは多くあります。
見積もり金額が安すぎる(他社と比べて100万円も安い、他社の見積もり金額を聞いて大幅に値下げしてくる等)、見積書の項目がおおざっぱ(解体工事一式150万円!といった記載のみ等)といった業者は、契約するかどうか慎重に検討しましょう。
また着工後に地中埋設物が見つかった場合は必ず依頼主に確認してから撤去するといったことも事前に確認し合っておくことが大切です。
撤去してほしくないものを撤去された!
「残しておいてほしいと伝えたはずなのに、庭木と庭石、物置なども撤去されてしまった。その分費用もかかった」など、工事範囲の意思疎通が図れておらず後悔したというケースもあります。
入念な打ち合わせを行っておくことはもちろん、心配であれば着工後にも再度確認しておいても良いでしょう。
近隣から苦情がきた!
「突然大きな音が響いてびっくりした」「粉塵で車のフロントガラスが埃だらけになってしまった」「振動で子供が怖がっている」など、解体工事では騒音・振動・粉塵といったリスクにまつわる苦情がつきものです。
もちろん作業員はこれらに十分配慮しながら、できるだけリスクを抑えた作業を行ってくれますが、どうしても発生してしまうことは避けられません。
そのため、近隣からの苦情はゼロにするのが至難のわざです。
大切なのは、苦情が来たときに迅速に、かつ誠実に対応できるかどうかです。
担当者の人柄や責任感なども、打ち合わせの中で確認しておきたいポイントです。
隣家に損害を与えてしまった!
壁材や屋根材が飛散してしまい、隣家の壁を傷つけたり窓ガラスを破損させたりしてしまうことがあります。
多くの解体業者はそうした解体工事中のトラブルに備えて「損害保険」に加入しているため、依頼主が責任を負うことはありません。
しかし、損害保険に加入していない業者や、不誠実な業者の場合、トラブルを放置したり依頼主に費用を請求したりすることも考えられます。
契約前に解体工事中の事故などに対する対応方法、損害保険の加入状況などを確認しておきましょう。
解体工事の流れまとめ
解体工事の流れ、依頼主として押さえておきたいポイントをまとめて説明してきました。
解体工事は一生のうちに何度も経験するものではありませんので、なかなか情報を集めにくいと思いますが、双方が納得のいく解体工事にできるよう、ぜひこの記事を参考にしてください。
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